すとーる・まーじん

ロケットとか飛行機とかもぐもぐします

Wonder Festival 2017

 ワンフェス2017に出店しました。初のイベント参加ということもあり、経緯、当日の記録等をまとめようと思う。

 

製作の経緯

 博物館や資料館でロケットエンジンジェットエンジンの模型を時折みかけるが実は長いことそれが欲しかった。ウッドモデルやレシプロエンジンのキット、契約者モデルの情報はちらほらとあったが世の中に幅広く普及している模型は無いようであった。「無ければ作らなければならない」と久しぶりに創作意欲が湧いたのが昨年の11月末。

 

  

 どのエンジンをつくろうかといろいろと思案していたところ、友人らの希望もありロシアのRD-180に行きあたる(複数発エンジンってかっこいいよね)。ちょうど年が明け、2017年の目標のひとつをガレージキットの一大イベント「Wonder Festivalに参加する」ことにする。

 

 

 ここでRD-180ロケットエンジンについて簡単に説明すると、ロシア(ソ連)が開発した名作エンジンRD-170のエンジン数の4を半分の2にし、小型のロケットへの適用を目指したエンジンである。但し現時点ではロシアのロケットに搭載される予定はなくアメリカのロケットに供給されている。

 

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図1 エネルゴマシュ社に展示されるRD-180

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図2 RD-180正面図・側面図

 

製作開始

 さて、モデルをつくるためには先ずは情報収集を実施する必要がある。RD-180のスペック的な情報はある程度あるが、その寸法、細部仕様についての情報は限られていた。アトラスロケット(RD-180搭載)のユーザーズマニュアルや公式写真を元に形状や配管経路を割り出していった。また5月の連休にエネルゴマシュ社の展示室に実際に行かれた方(@Kei_Kei_Twi様)に写真提供を頂き、不明だったターボポンプ周りの取り回しに関する情報を入手し、原型データが完成した。寸法についてはディスプレイの観点から全高160mm程とし、ノンスケールとした。モデリングはCADソフトを用い、ほぼ全ての基礎部品をDMM 3Dプリントにてナイロン出力(一部アクリル)し、表面処理を行なう方針とした(図3)。また、複雑な一部原型とハメアイについては手仕上げを行った。表面処理にあたってはTuneD3のBASICキットで荒→細→ブルーとして処理を行った。

 

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 ナイロン焼結の原型は安価でありTuneD3で比較的きれいな表面になるものの、細部造型、曲面については圧倒的にアクリルが加工しやすく、大きな形状でなくかつ金銭的に余裕があればアクリルを強く推奨する(ナイロンは毛羽立ち、原型には不向き)。

 

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図3 原型が出そろいイメージを膨らませている様子

  

 シリコン原型がほぼ完成したところでシリコンを鋳込む。学生時代に少しレジンに触って以来10年ぶりぐらいの素人である。見よう見まね、取説に従い、シリコンをつくるもよくよく考えればヘッドと圧力損失からレジン注入経路、ガス抜き経路はしっかりデザインする必要があるが、早速失敗をする。しかたがなく、圧縮空気を使用し、加圧成型を行い、以降これがほぼ全ての複製の基準となる(図4)

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図4 重力注入(左) 加圧成型(右)

 

  原型を出力し、表面処理を行い、シリコン原型がほぼ完成したところでシリコンを鋳込む。学生時代に少しレジンに触って以来10年ぶりぐらいの素人である。見よう見まね、取説に従い、シリコンをつくるもよくよく考えればヘッドと圧力損失からレジン注入経路、ガス抜き経路はしっかりデザインする必要があるが、早速失敗をする。しかたがなく、圧縮空気を使用し、加圧成型を行い、以降これがほぼ全ての複製の基準となる。原型磨きとシリコン型取りを経て1号機の完成が7月21日、イベントの1週間前であった(図5)。この段階から製品用複製作業を行い、イベントに間に合ったキットは展示品を含め4セットのみであった(図6)。

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図5 完成展示品

 

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図6 販売パッケージ

 

  展示品の最後にディスプレイスタンドと銘版、デカールについて述べる。試作品のディスプレイスタンドは川合木工所のP-7を採用した(販売パッケージにはヒノキ削出を採用している)。川合木工所の飾り台はアガチスという木材を採用しており、密度は小さく、粘り気があることから加工は丁寧に行う必要があるが、問題は着色であった。エンジンモデルの台座は当初からレトロ感のある木材にしようと考えており、木材の着色としては先ずはウッドオイル&ニスが思い浮かび、早速施工を行った(図7)。表面処理が甘かったか、ニスの塗装がイマイチであり、いろいろ調べた結果、ブライワックスを使用することにした(図8)。このブライワックスは木目が美しく表現され、かつ、レトロな雰囲気に仕上がったことから試作品にはこれを採用することとした。

 

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図7 川合木工所P-7(下) ウッドオイル&ニス施工(上)

 

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図8 ウッドオイル&ニス施工(上) ブライワックス(下)

 

 銘版については飾り台をフライス盤でややザグリ、真鍮→透明シート→アクリルの構成として埋め込みを表現したが割合うまく行ったように思える。デカールについてはハイキューパーツのクリアデカールをセブンネットで印刷することとし、今回は原型の3D出力を除き、全て自作の運びとなった。銘版の白色、デカールの白色が表現できないことから、さらに量産する場合はデカールメーカへの外注を検討する。

 

当日の備忘録とか

 イベントは日曜日開催であり、土曜日から事前受付を行っていることを踏まえ土曜日入りとした。土曜日の1930まではスペースの設営、ディーラー受付を行い当日は0900までに入場した(0830頃には現地についた方が良いようである)。初参加にも関わらず誕生日席となり、緊張する中、当日を迎える。

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図9 ディーラースペース

 

 1000の開場拍手と共にWonder Festival2017夏が開幕。緊張で縮こまっていると早速お客様が手にとって戴き、それからも次々とスペースに来て戴き初参加の素人作品にも関わらず無事に完売しました(図10)。完売した後も「Twitterで見ました」とか「おもしろいですね」とかすごく興味を持って戴きいろんな方と交流でき、あっという間に閉会を迎えました。量産を希望される方が多く、こちらはこつこつと進めていますので、再販時には告知したいと思います。

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図10 完売しました(展示キットと共に)

 

 ニッチな産業にはすごくおもしろい反応をされて半年こつこつとやってきた疲れが一気に飛びとても楽しいイベントになりました。新作キットも検討しており、今後ともよろしくお願いします。